20 6月

離職率を減らす決め手は働きやすい職場環境づくりから~NHK「クローズアップ現代」から見えてきた“就職トレンド”~

【就職戦線の今・就職活動の方法にも大きな変化が】

去る6月11日(月)に放映されたNHK「クローズアップ現代」は、「“逆求人”に“ツテ転職”!? 激変する人材争奪戦」と題し、就職活動の今をクローズアップした内容でとても興味深い内容でした。

これまでも“売り手市場(就職希望者有利)”との話は聞いてはいたものの、“ここまで来ているのか”というのが実感でした。

通常就職活動と言えば、就職希望者が履歴書やエントリーシートを作成し、何十か所にも上る企業を訪問し、面接を受けるというのが主流かと思っていましたが、今は「OfferBox」というサイトに就職希望者が自分自身の履歴やPR文を掲載し、それを見た企業が面接を申し込むという“逆求人型就活サイト”が出て来ているという事でした。

また別の就職活動形態として、企業と就職希望者が「働くことについて」3時間余りにわたって議論するというイベントの紹介がありました。
これまでも企業と就職希望者間でディスカッションを行う事はありましたが、今回のイベントで興味深かったのは、ディスカッションの際に学生も企業側も一切自分の出身校や企業名を明かさないで行う「覆面本音トーク」になっているというところです。

なぜ「覆面本音トーク」を行うのか、その目的は、今や新卒採用の実に3人に1人が、3年以内に会社を辞めています。大きな原因とされているのが、ミスマッチです。学生側は、いざ就職すると、自分のイメージと違っていた。一方、企業側は思っていた人材と違っていた。こういったミスマッチを防ごう、ということでこの新たな取り組みが始まっています。肩書に関係なく語り合うことで、納得ずくの採用につなげることがねらいです。

番組の中で、ゲストの博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーの原田曜平氏は、「今、非常に若者は、それこそ採用氷河期で、売手市場になっているので、割と本音でそのまま話したいなっていう、ちょっと余裕が出てきて、今度は逆に企業の方がすごくうそをついて、よく見せようとしているという状況になってきているんで、やっぱり、うそのつき合いという意味で、本当のマッチングっていうのが、まだ起こりにくい状況になっているなという印象はあります。だから企業側も本音を見せないと、今、ネット時代でいろんな情報がすぐ入っちゃいますから、本音で勝負した方がいいと思いますけどね。」

また同じくゲストの千葉商科大学 専任講師の常見陽平氏は、「今の若者の就職観」の調査結果に対し「むしろ若者に寄り添う人事が好かれるんです。寄り添う、若者は、いいところを味わうっていうことが大事なんです。若者がこういうふうに労働環境を求めるのって労働者として非常にまともなことだと思うので、そこにまっとうに応える人事、頼れる経営者っていうものが求められていると思います。」

【共通する価値観・長期雇用に繋がる採用方法と離職率を下げる方法】

これまで採用というと企業側主導で行われてきたところであり、また入社後も「会社のやり方、働き方に合わせる」ことが求められて来たが、今やその流れにも変化が見られつつあるようです。

サイボウズ株式会社は、2015年の離職率が28%だったが、2014年では4%まで減らしました。社長の青野慶久氏は「100人いれば、100通りの人事制度があってよい」と考え、働き方の見直しに着手。「育児・介護休暇制度」や「子連れ出勤制度」などを設け、従業員の働きやすさを実現し、離職率を下げることに成功しました。

飲食業界の離職率は3割とかなり高く、人手不足が最も深刻な業界ですが、そんな飲食業界の中でも、低い離職率を誇るのがロイヤルホスト。ロイヤルホストは昨年1月に全店舗で人手不足で深夜の人員が揃わないことや従業員のワークライフバランスを重視することを理由に24時間営業を停止。従業員に寄り添った柔軟な働き方改革を続けて、離職率はここ数年5%以下を記録しています。

【カギは従業員に寄り添う価値観】

このように「サイボウズ」も「ロイヤルホスト」も企業側の都合を従業員に求めるのではなく、むしろ「従業員に寄り添う」に価値観を転換したことから離職率を下げることに成功したと言ってもいいと思います。

これからの流れとして、離職率削減や企業の理想とする社員採用について、企業が如何に上手く就職希望の若者や現在働いている従業員の人々の「就職観・就労観」をキャッチし、行動できるかが今後のカギを握っているのかもしれません