医療現場の職場環境改善に向けた取り組みについて
【看護師の職場環境】
沖縄タイムス紙では、今年上半期「働くを考える」と題して、沖縄県内の企業で働く従業員の仕事の実態や企業の取組みを取材し、掲載する企画が連載されました。
その紙面を読んでいると、働き方について、その企業で一生懸命で考えたであろうユニークな取り組みがみられ、とても興味深く読ませていただいた紙面もあれば、沖縄の負の労働現場模様を取り上げた、読むと考えさせられる紙面にも出会うこともありました。
正負いずれにせよ今の沖縄の労働現場を映し出している内容なので、今後このブログでも紹介していければと思っています。
今回は今年2月13日(月)付け紙面で掲載された内容を基に、相互理解の立場からお話し出来ればと思います。
本記事で取材対象は総合病院の内科病棟で働く松本さん(仮名)、41歳の看護師です。
勤務時間は日勤9時間、夜勤17時間で週5日勤務です。
そんな彼女が「わたし、いつまでできるのかな」と悩むのは、「人手不足の上に業務は膨らみ、勤務時間を過ぎても帰れない。激務に疲れ果て、心身を病み、辞めていく看護師を何人も見てきた」からです。
【うつ病で退職した私の経験について】
私自身も以前働いていた職場で、同じような経験をしたので、その気持ちがよくわかります。
朝8時30分に出勤してから、翌日8時30分までの勤務時間で、深夜0時から5時までは仮眠時間となっているものの、その時間中来客があれば対応しなければならず、仮眠時間とはいえ、ほとんど眠ることはできませんでした。更に勤務終了時間の8時30分でも、来客が多い時には窓口対応に当たらなければならず、昼休憩時間の12時まで働き続けることも多々ありました。
結局8時30分の出勤から翌日12時までの27時間以上の勤務を週に2回行っていました。そんな勤務状態を続けていたある日、身体に不調が来ました。突然心臓が締め付けられる痛みに襲われ、立っていられずしばらくしゃがみ込んでしまったのです。幸いなことに傍に妻がいてくれたので大事には至りませんでしたが、あまりの変調ぶりに驚き、心療内科で受診することをすすめられました。
妻は以前から私の言動の異変に気づいていたようです。そして心療内科で見てもらった結果、「うつ病」と診断されました。そのころは夜勤がない時でも、なかなか眠ることが出来ず、慢性的に睡眠不足を感じてはいたのですが、「うつ病」と診断されるほど悪い状態になっていたとは、私自身まったく気づいていませんでした。
こうしてうつ病になったことも一つの理由でしたが、15年間勤めた仕事を退職するに至りました。
私の仕事は特に人命を扱う仕事ではありませんでしたが、不規則な勤務内容と長時間労働が重なり心身を病みました。
まして看護師の仕事は勤務時間中絶えず緊張状態を強いられる大変なお仕事だと思うので、そのストレスは並大抵のことではないと思います。
先ほどお話しした、私がうつ病になった時の職場も育児休暇や長期研修の職員がいたことで、常時1~2名少ない職員で切り盛りしなくてはならないことから、職員の業務負担増と長時間勤務が慢性化していました。
そこでその状態を少しでも緩和、負担軽減したいと思い、上司に仕事のやり方を見直し、簡素化できることは変えていくことを何度も提案しましたが、「やる、やる。」と返事はするものの、結局業務見直しはまったく行われることはありませんでした。
何度も提案しても部下の言葉に耳を貸そうとしない上司の存在が、私の仕事のモチベーションを下げ、ひいてはうつ病になるまで追いつめられるきっかけになりました。
もしあの時、上司が私の想いを理解しようとし聴く耳を持って対応してくれたなら、うつ病にならなくて済んだのではないかと思っています。
その時、相手の想いを尊重し、理解しようと心を寄せる、「相互理解」の大切さを痛感しました。
【看護師の業務負担緩和・軽減に向けた取組みの提案】
おそらく今回の紙面で取材された松本さんの苦悩は、その他多くの看護師の苦悩だと思います。
そこで相互理解の見地から、看護師の方々の業務負担の緩和・軽減をご提案させて頂きたいと思います。
その提案とは、月に二回(少なくとも最低月一回)、茶話会を行うというものです。
その際大切なことは、決裁権のある上司(責任者)が必ず出席するということです。そうすることで、この茶話会の主旨が、単なる仲間同士のおしゃべり会ではなく、現場の声を上司が聴く会ということが明確になり、愚痴のこぼし合いではなく、前向きに仕事のやり方を改善していくことになります。
こう書くと、茶話会ではなく、「業務改善会議」や「QCミーティング」としてちゃんとやった方がいいのでは、といった意見もあるかと思いますが、そういった改まった形式で行うと、逆に「ちゃんとした意見を述べなければならない」という思いから、なかなか「いい意見」は出にくくなるものです。
またこの茶話会の良さは、ざっくばらんに思いを話せる場だからこそ、上司としては働いている人の本音が聴けて、また職員にとってはいい意味での「ストレス発散」の場という役割を持つことになります。「職場の飲み会」といった砕けすぎる場ではなく、あくまで仕事の延長にあるものという位置づけが大切になるかと思います。
たかが茶話会ではなく、「されど茶話会」になるには、ひとえに参加する皆さんの意識にかかっています。